
会社のプランターの中にちょこちょこと動きかわいい生き物が知らぬ間に棲んでいました。
その名もホウネンエビ(豊年蝦)。
小さくて儚げなこの生き物は、昔から「豊作の兆し」として親しまれてきました。今回は、そんなホウネンエビの魅力とちょっとした豆知識をご紹介します。
🦐ホウネンエビってどんな生き物?
ホウネンエビ(学名:Branchinella kugenumaensis)は、甲殻類の仲間で、田んぼや一時的な水たまりに生息します。体長は2〜3cmほど。細長い体に、背泳ぎでスイスイと泳ぐ姿が特徴的です。
見た目はちょっとミジンコっぽいけれど、実はミジンコよりもずっと大きく、よーく見ると半透明のエビのような姿をしています。

ホウネンエビの豆知識3選!
1. 「豊年エビ」と書く理由
名前の「ホウネン(豊年)」は、その年にたくさん現れると「豊作になる」と言い伝えられてきたことに由来しています。昔の農村では、田んぼでホウネンエビを見かけると「今年は米がよく実るぞ」と喜ばれたそうです。
2. 幻のような短命生物
ホウネンエビの寿命はなんと2〜3週間。しかも、毎年出現するわけではなく、数年に一度しか見られないこともあるという、とても不思議な存在なんです。田んぼに水が入るタイミングや気候の条件がピタッと揃うことで、何年も眠っていた卵が孵化するというドラマチックな生き物です。
3. 「乾燥卵」のサバイバル戦略
ホウネンエビの最大の特徴は、卵が乾燥に耐える性質を持っていること。水が干上がった田んぼの土の中でも、卵は数年間生き延びることができるのです。そして、数年後に水が張られたとき、条件が合えば一斉に孵化!
これを「乾眠(かんみん)」と呼びます。
見つけたらラッキー!
ホウネンエビは、田んぼがまだ農薬などを使っていない**初期の時期(5〜6月頃)**にしか見られません。背泳ぎしながらおなかを上にして泳いでいるのが特徴なので、見つけるとすぐに「あ、ホウネンエビだ!」と分かるはず。
運がよければ、同じ田んぼに「カブトエビ」や「ミジンコ」なども一緒に見られるかもしれません!
さいごに
ホウネンエビは、農業と自然が密接に結びついていた時代の「季節のしるし」のような存在です。環境の変化に敏感で、ちょっとした水辺の生態系の豊かさを教えてくれる、自然からの贈り物ともいえるでしょう。
もし田んぼの近くを通ることがあれば、水面をのぞいてみてください。小さな命が静かに、でもたしかに息づいているかもしれませんよ。
プチ情報:観察のコツ
- ホウネンエビは午前中の方が活発に動くことが多いです。
- スマホのカメラで撮影するときは逆光にならないように注意!
- 採取する場合は、すぐに水と一緒に観察ケースに移し、元の場所に戻すのがマナーです。
皆さんも是非見つけてみてください!